この記事でわかること
- 建設業許可は相続で自動的に引き継がれないという事実
- 2020年法改正で新設された「事前認可制度」の仕組み
- 相続発生後30日以内に必要な手続き
- 今から経営者がやっておくべき備え
はじめに
建設業を経営されている方にとって、自分自身や先代経営者に万一のことがあった場合、「建設業許可」がどうなるのかは見過ごせない問題です。
許可は会社や個人事業主の財産のように自動的に引き継がれるわけではなく、何も手続きをしなければ事業が止まってしまうリスクがあります。
ここでは、相続発生時の建設業許可の取り扱いと、今からできる備えを解説します。
建設業許可は自動的には引き継がれない
建設業許可は、経営者個人や法人ごとに与えられるものです。
個人事業主であった経営者が亡くなった場合、原則として許可はその経営者の死亡とともに失効します。 何の手続きもせずに後継者がそのまま工事を続けてしまうと、無許可営業とみなされる恐れもあるため注意が必要です。
2020年の法改正で生まれた「事前認可制度」
こうした空白期間の問題に対応するため、2020年10月施行の改正建設業法で、事業譲渡・合併・分割・相続によって建設業を承継する場合の認可制度が新設されました。
あらかじめ所定の手続きを経て認可を受けることで、承継先は承継元の許可を含めた建設業者としての地位をそのまま引き継ぐことができるようになっています。
これにより、許可を一度取り下げて新たに取得し直す必要がなくなり、空白期間なく事業を継続できる仕組みが整いました。
相続の場合は「死亡後30日以内」が期限
事業譲渡や合併のように事前に準備できるケースと異なり、相続は予期せず発生します。
経営者本人が亡くなった場合、相続人は死亡後30日以内に相続の認可申請を行うことで、空白期間を生じさせずに許可を承継できる制度になっています。
30日という期間は、葬儀や各種手続きに追われる中では決して長くありません。経営者本人が高齢である場合や持病がある場合は、後継者や顧問の行政書士とあらかじめ相談し、必要書類や手続きの流れを把握しておくことが望ましいといえます。
承継には「経営業務管理責任者」の確保も必要
建設業許可を維持するには、許可要件である経営業務管理責任者(常勤役員等)を引き続き確保できているかどうかも重要なポイントです。
後継者が要件を満たしていない場合、許可の承継自体ができても、その後の更新で問題が生じる可能性があります。後継者候補に必要な実務経験や資格を計画的に積ませておくことが、許可を途切れさせないための土台になります。
業界全体で進む後継者不足とM&Aという選択肢
建設業は後継者不在率が約6割にのぼるとされ、全産業平均よりも高い水準にあります。
経営者の高齢化が進む一方、若手の入職者が少ないことも背景にあり、親族内承継が難しい場合は、**第三者への事業譲渡(M&A)**という選択肢を検討する企業も増えています。
建設業のM&Aは近年過去最多のペースで件数が増加しており、許可や技術者を含めて会社をそのまま引き継いでもらうことで、従業員の雇用や取引先との関係を維持できるというメリットがあります。
今からできる備え
| やるべきこと | タイミング |
|---|---|
| 後継者(親族または社内幹部)を早めに決め、経営業務管理責任者の要件を満たせるよう準備する | 今すぐ |
| 顧問の行政書士・税理士と連携し、相続発生時の手続きと必要書類を事前確認する | 今すぐ |
| 親族内に後継者がいない場合、M&Aによる第三者承継の可能性も検討する | 早めに |
| 経営者自身の相続(財産・株式・許可)を一体で考え、遺言や生前の準備を進める | 早めに |
まとめ
- 建設業許可は経営者の相続とともに自動的には引き継がれない
- 相続の場合は死亡後30日以内に認可申請が必要
- 2020年の法改正で空白期間なく承継できる制度が整備された
- 後継者の確保・手続きの事前確認は経営者が健在なうちに進めておくことが重要
期限に追われて慌てないためにも、今のうちから計画的に備えておくことをおすすめします。
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