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経営事項審査(経審)のP点を上げるには?今すぐできることと中長期の対策

建設業許可
建設業許可・経営事項審査(経審)コラム
公共工事の元請を目指す建設業者にとって、経営事項審査(経審)の「総合評定値P」は避けて通れない数字です。P点は入札参加資格のランク付けに直結するため、「できるだけ早く、できるだけ高く」したいと考える経営者の方も多いのではないでしょうか。

P点は次の5つの項目を、決められたウエイト(重み)で合算して算出されます。

P = X1(完成工事高)×0.25 + X2(経営規模)×0.15 + Y(経営状況)×0.20 + Z(技術力)×0.25 + W(社会性等)×0.15

このうち、X1(完成工事高)とZ(技術力)は業績や人材育成の積み重ねが必要な項目で、効果が出るまでに時間がかかります。一方でW(社会性等)は、制度への加入や登録だけで加点されるものが多く、比較的短期間で着手できるのが特徴です。

本記事では、「今すぐ着手できる対策」と「中長期的に取り組む対策」に分けて、P点アップのポイントを解説します。

今すぐできる対策(主にW:社会性等)

SHORT TERM

W(社会性等)は8つの評価項目からなり、書類の準備や制度への加入・登録によって加点できるものが多く含まれます。決算までに時間がない場合でも、着手できる項目から進めることをおすすめします。

建設業退職金共済(建退共)への加入

未加入の場合は、加入するだけで加点対象になります。技能者の福利厚生にもつながる制度です。

退職一時金制度・企業年金制度の整備

自社の退職金制度が建退共以外の形で整っている場合も評価対象になります。

法定外労働災害補償(上乗せ労災)への加入

法定の労災保険に加えて、上乗せの補償制度に加入している場合に加点されます。

建設キャリアアップシステム(CCUS)を使った就業履歴の記録体制

単にCCUSに登録しているだけでは加点になりません。審査基準日以前1年以内に元請として直接請け負った工事において、CCUSで現場情報を登録し、カードリーダー等と連携して就業履歴を自動的に蓄積できる体制まで整えている場合に加点対象になります。元請工事の実績が必要な点にご注意ください。

建設機械(車両)の保有・リース

ショベル系掘削機やブルドーザー、ダンプ車など、一定の要件を満たす建設機械を自社で保有またはリースしている場合に加点されます。保有台数に加えて、購入・リースの時期や特定自主検査の実施状況を示す書類(車検証、売買契約書、リース契約書など)が必要になるため、早めに整理しておくとスムーズです。

令和8年7月1日から、加点対象となる建設機械の範囲が拡大されました。新たに「不整地運搬車(クローラー式・ホイール式)」と「アスファルト・フィニッシャ」が評価対象に加わっています。これまで対象外だった車両をお持ちの場合も、あらためて保有状況をご確認いただくことをおすすめします。

「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」への宣言

令和8年7月以降に追加された比較的新しい加点項目です。宣言を行うだけで評価対象になります。

防災協定の締結・参加

地元自治体との防災協定や、業界団体が締結している防災協定への加入状況が評価されます。

ISO9001・ISO14001やエコアクション21の認証取得

すでに認証を取得している場合は忘れずに申請書類へ反映しましょう。取得を検討中の場合、比較的短期間で取得できる制度から着手するのも一案です。

建設業経理士資格者の配置・経理体制の整備

決算書類の適正性を確認する体制が整っているかどうかも評価対象です。

完成工事高の2年平均・3年平均の有利選択

直近の実績が一時的に落ち込んでいる場合でも、2年平均・3年平均のどちらか有利な方を選んで申請できます。

これらは「加入している・登録している」という事実そのものが加点につながるため、まずは自社の加入状況を棚卸しし、未対応の項目から順番に着手するのが効率的です。

中長期的に取り組む対策(X1・X2・Y・Z)

MID / LONG TERM

一方で、以下の項目は業績や財務体質、人材育成の積み重ねが必要で、成果が出るまでに一定の時間がかかります。次の決算だけでなく、数年単位の計画として取り組むことが重要です。

X1:完成工事高を伸ばす(ウエイト25%)

元請・下請を問わず、業種ごとの完成工事高そのものを伸ばすのが基本です。専門工事を土木一式・建築一式に振り替えられるケースもありますが、振替元の業種が受審できなくなる点には注意が必要です。

X2:自己資本を厚くする(ウエイト15%)

貸借対照表上の自己資本額と、平均利益額(営業利益+支払利息等)を点数化した項目です。増資によって自己資本を増やす、または利益を計上して内部留保(繰越利益剰余金)を積み上げることで評価が上がります。

Y:経営状況(財務の健全性)を改善する(ウエイト20%)

借入金を圧縮して支払利息の負担を減らす、自己資本比率を高める、キャッシュフローを黒字化・改善するなど、財務体質そのものの改善が求められます。決算の数か月前から税理士や登録経営状況分析機関に相談し、決算対策として取り組むのが効果的です。決算後に手を打っても間に合わないケースが多い点に注意しましょう。

Z:技術力を高める(ウエイト25%)

技術職員数(保有資格の級に応じた配点)と元請完成工事高が評価対象です。社員の1級施工管理技士等の資格取得を奨励する、監理技術者講習を受講済みにしておくなど、資格取得の支援体制を整えることで配点が大きく上がるケースがあります。技術職員は審査基準日以前6か月を超える常勤雇用が条件となる点にも留意が必要です。

まとめ:優先順位をつけて計画的に

経審のP点を上げるには、①すぐに着手できるW(社会性等)の制度加入・登録から手をつけ、②中期的にX2・Yの財務体質改善、③X1・Zの売上拡大・技術者育成に計画的に取り組む、という優先順位で進めるのが効率的です。

決算対策が必要な項目は、決算の数か月前からの準備が成否を分けます。

「何から手をつければよいか分からない」「自社の場合はどの項目を優先すべきか知りたい」という方は、お気軽にご相談ください。
ナカネ行政書士事務所